— とある夜に、ふと思いつき、12面体の展開図をプリントアウトした。
時刻は深夜12時をまわっている。
インクジェットのプリンターが音を立ててモノクロの幾何学模様を描き出した。
いくつかのスケールが必要だったため、
大きさ違いの図面を作画し、パソコンの画面に映し出されていた。
スケールの違いの他には、縁取られた線の太さも変えられたものがある。
平面に広がった展開図のひとつに目星をつけ、その紙にはさみを入れる。
まずは、細かなことは気にせずに図に沿って切り込みをいれる。
菱形と菱形が接する部分に折り目をつけ、立体的にまとめあげる。
つなぎ目は、セロハンテープだ。
まずは、サイズ感を確かめたい。
細かなディテールはその後の行程と理解している。
まずは「たたき台」が必要なのだ。
以前にも、この菱形12面体は作ったことがある。
昨年の「石ふしぎ大発見展in大阪」のオフィシャルのチラシではガーネットの展開図がプリントされていた。
その時は「ガーネット好きの皆様」お手製の12面体を持ってきていただいた。
A4サイズのチラシにプリントされていたため比較的作りやすかったのだが、紙の厚みは一般的なチラシの厚みときているので、強度が問題だった。
今回の問題は大きさだ。
最近では小さな文字が読みにくくメガネをかけているのだが、
それだけの原因ではなさそうだ。
フォトダイアリーでお馴染みの「Preiser社のミニチュアフィギュア」の
人達なら作りやすかったのだろうか?
いずれにせよ、大小合わせて5サイズくらいを紙で作った。切ってはいけない部分を切ってしまったり、接合時に切れてしまったり。また、線の太さを調整してみたりと、何度か夜中にプリンターが仕事をした。
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通常アクセサリーの原型作成には「デザイン画」というのが必要になる。
正面や横、上面などの立体的な設計図となる元だ。
ただ、今回の場合「紙でできた模型」そのものを工房に持ち込んでみた。
「やりたい意味はわかるが、このままでは出来ない」そういって製作を断られた。
それもそのはずなのだが、何社かあたっていると、偶然にも以前同じ職場で働いていた職人に出会いなんとか作成の目処がたった。
「菱形12面体で開閉するペンダントトップ」簡単に考えると、真上からナイフを落として真っ二つにした形状なら、それほど難しくない。ただ、こだわりのポイントとしては、展開図を開閉した状態の様に菱形の形状は残しておきたかったので、バチカンの位置、ヒンジの位置、開閉した時のフォルムは希望があった。
それでも現実的に出来ることとできない事がでてくるのだが、ほとんど「紙で作った模型」のスケールと希望通りの仕上がりに期待が膨らみ、春のミネラルショーにお披露目することとなった。
「小さな石だけれど持ち歩きたい」
「ジュエリー枠は決めていないけれど石だけは持っていたい」という
お客様からの声も多い。
フレキシブルに今日の気分でも石を選べる様に、
自分のお守りとなる石を選べるような仕様をと思っていた。
それでいて「ガーネットのつながり」というアイデアで
今回のペンダントトップは完成したのである。
ガーネットファンズとしての新たな展開、そして初めてのオリジナルジュエリーということも含めて意匠登録も申請している。ただ、ガーネットファンズ単独で販売しようと思っていないため、もしこのペンダントのコンセプトに当てはまるお店があればお使いいただければと思っている。
地金の素材はシルバー925、K18イエローゴールドとホワイトゴールド。
ある程度初回在庫は作成したのだが、基本的には受注生産というスタイルだ。
もちろん、シリーズの展開も現在進行している。
今回インターネットでの販売開始に際して、このペンダントの中に入る「ガーネットの原石」をプレゼントする予定だ。ただ数に限りがあるので限定となりそうだ。